日替彼女

気持ちの醒めない日常


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剛 〜里山生活〜

剛が里山に住み始めた家は、古く大きな家で自分の親くらいの歳の建物だった。

 

この家は、以前は家主の家族が住んでいたが息子の転勤を機に息子夫婦とともに家族全員が山梨を離れ転勤先に家を建て住み始めてかれこれ1年が過ぎた物件だった。

 

古くても立派な梁と古い家には似合わない新しい水回りが揃っていた。

 

古い家という以外は庭は広く、畑もあり田舎暮らしをしたいひとには十分すぎるほどの家だった。そこへ剛は一人で住むことになり周囲は一人では広すぎだろうと冷やかすほどの家だった。

 

住み始めて1週間も経たずに、小さな里山の町に「都会の若者がきた」と噂が広がり多くの町人が剛を目当てに朝から晩まで引っ切りなしに家の周りをウロウロしていた。

 

剛は、そんな行動を気にもせず黙々と家の掃除をしたり、庭の雑草を抜いていたりした。

 

毎日、剛を心配して来てくれている農家のおじさんはすこしでも元気になってもらおうと町で行われる若者の集まりに出てみたらどうかと勧めてみた。

 

剛も田舎暮らしの間、ずっと若者を見かけていなかったので「まー暇だし」と思い出ることにした。

 

そこには10数人の男女がいて、町おこしについて勉強会を開いていた。

 

ほとんど同世代で話しやすかった。

 

剛に興味津々の勉強会参加の若者達は我先にと言わんばかりに剛へと質問をした。

 

剛は、久しぶりの若者との会話に笑顔になった。

 

剛は、質問に答えるだけでなくその勉強会でもどんどんと自分の考えをいったことで若者達に「このひとなら変えてくれる」という期待も生まれすぐにこの若者達の一員として輪の中に溶け込むことになった。

 

それからというもの、若者達から引っ切りなしに里山の案内をされ、いつからか彼の大きな借家にも若者達が遊びにくるようになり少しづつ元気を取り戻した剛がいた。

 

剛は、持ち前の明るさと行動力で周囲より圧倒的なスピードでいろいろな新しい風を吹かせていた。地元の若者達を巻き込んでの活動だったので誰一人それを批判することなく剛は町の中でも大きな存在となり生活をする日々となった。

 

そして剛は、自分が必要とされる嬉しさから更に力を注ぐようになりいつしか、剛のことを恋心をもつ女性も現れてくるようになってきた。

 

しかし、剛はそんな女心をよそに町のためにと毎日走り回っていた。

 

剛の心はいつからか期待される気持ちや自分を認めてくれる存在を大切にしていく気持ちが大きく心地よいものとなると同時に結婚観や恋愛観というものが小さくなり心地よい関係なら特定の相手を持つ必要がないと思うようになっていった。