日替彼女

気持ちの醒めない日常


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朱里(あかり) 〜大学生〜1

朱里 21歳。

 

県内の私立大学に通う3年生。

 

3姉妹の末っ子。歳の離れた姉が2人いるが長女は結婚して家を出ていて、次女も都内の企業への就職をしているため祖父、祖母、父、母、朱里の5人で暮らしている。

 

朱里は、父親が男の子が生まれるようにと期待を込めてこの世に生を受けて生まれたが女の子であったため、幼年期から父親には可愛がられず、ほとんど祖父母に育てられた。

 

そのためか、反抗的な態度が日常茶飯事で学校では問題が多くよく母親が呼び出されていた。

 

勉強はできたのだが、問題が多く都内の大学を希望していたが推薦を学校に書いてもらえず、祖父母の「とりあえず大学くらいは出た方がよい」という希望から半分、あと4年遊べるからという気持ちで大学生をしていた。

 

家は、田舎にある大地主ということもあり周りがうらやむ大金持ち。それに加え代々議員家系ということもあり、自宅には多くの来客が年中来ていた。

 

お金には困ることがなかったが、親への反抗としてコンビニエンスストアのバイトをしていた。バイト先へも車では行かずバイト代で購入したビックスクーターでいつも通勤していた。

 

 

 

朱里は、剛の自宅のそばのコンビニエンスストアでバイトしており、剛がお酒とつまみを買いに行く時によく会っていた。

 

剛は、会計の時にレジ横のホットスナックを買う時最後に、「以上でお願いします」というのが朱里には笑いのツボがハマっていて、いつからか朱里の中では気になる人になっていた。

 

 

 

そんなある日、剛がコンビニエンスストアに立ち寄ったタイミングがちょうど朱里がバイト終わりで、店の奥に置いてあるビックスクーターの乗ろうとしてたとき。

 

「お疲れさま、意外だね」と言う声に朱里はちょっと不機嫌そうな顔で剛と気づかず振り向いた。

 

あ、あの人だ。

 

少し不機嫌な顔で見てしまったことに恥ずかしくなりながらも、もう一度声のした方に顔を向けると思った以上に側にいた。

 

朱里は顔が更に赤くなったのを隠そうと小さな声で「お疲れさまです」と下を向く。

 

剛が「ビックスクーター乗ってるんだ〜」「カッコいいね」と言って近づいてきた。

 

うわー、めっちゃ近いしと思いながらバイクの話などせずに「名前聞いてもいいですか」と朱里は訪ねた。

 

正方形でデザインされた名刺を渡されながら、「よろしく」と言われ、朱里は会釈だけが精一杯だった。

 

「学生さん?」と剛に言われ「◯◯大学です」といい「へーそうなんだ」と答える剛に

「剛さんは何してるんですか」と質問する朱里。

 

一通り仕事の話をされ理解したような感じのタイミングで「どんな仕事か見てみる?」と言われ、警戒をすることなく剛の家へむかってしまった。

 

剛がこんな仕事だよと言わんばかりにいろいろな話をしているのに、付き合ってもいない男の人の部屋。と意識しすぎて朱里は剛の部屋で貧血を起こしてしまった。

 

 

 

朱里が目を開けた時には真夜中で、部屋の灯りもなく暗闇が広がっていた。

 

朱里がぼーっとする中に朱里を見つけるとその灯りの先には剛がパソコンに向かって仕事をしていた。

 

朱里が起きたことに剛は気づき、「直ぐに帰らなくて良いなら明るくなるまで少し休んでいきなよ」と促され剛が遠のく意識の中で身体が冷えないようにと布団をかけてくれたのを遠くに感じながら眠りについてしまった。

 

あたりがすっかり明るくなった時、朱里は目を覚まし周囲を見渡し剛がいるのを確認した。

 

「おはよう」と声をかける剛に頭だけ下げ下を向いてしまった朱里は「コーヒーでいい?」という剛の声に微かな声で「はい」と答えた。

 

直ぐに目の前に「どうぞ」とコーヒーを出され、ふーふーとコーヒーが早く冷めるように何度も何度も繰り返す。

 

それを見ていた剛に「可愛いね」と言われ顔が赤くなると同時に下を向く。

 

大人の男のひとの部屋なんだと周囲を見渡しながらコーヒーを口にする。

 

朱里の同級生にはない生活感。それに気づくと憧れていた剛のところにまた遊びに来ていいか、許可をもらいその日はコーヒーを飲んで家路に向かった。