日替彼女

気持ちの醒めない日常


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ゆう 〜パン屋さん〜3

次の日。

 

ゆうは、寝坊してしまった。

 

そして気づく。車を剛の家に置いてきたことを。

 

歩いて、20分。この距離を歩きながら昨日のことを思い出す。

 

剛の背中の香り。大きな背中。思った以上に太い腕。父親以外の男性にはじめておんぶしてもらったこと。

 

全てが新鮮であり、ゆうにとって生まれてはじめてパン以外に興味をもったことだった。

 

剛の家に来て、昨晩外のあったテーブルや椅子などが綺麗に片付いていた。

 

しかし、家はものすごく静かだったが窓は開いていた。

 

窓を覗くと、足が見えた。剛は寝ているようだ。

 

ゆうは剛にいたずらしようとそっと家の中に入り剛に近づいた。

 

寝顔は可愛く、いつもの剛とは違い子供のような表情で寝ていた。

 

ゆうは、そっと剛に近づき寝顔を見つめる。

 

昨日、自分をおんぶして送ってくれた人には思えないくらい可愛い弟のような感じに見えた。

 

それでも大きな背中と太い腕が服の上からでもわかった。

 

ゆうは、剛の唇をそっと指で触れてみる。想像以上にやわらかく手になじんだ。

 

「キスってどんな感じだろ」と寝ている剛にファーストキスを捧げた。

 

キスをして気づく。「わたし、何やっているんだろ。」

 

そう思って、ゆうは寝ている剛をそのままにして、自分の車に乗り込みお店に向かった。

 

 

 

 

その日の夕方。ほとんどのパンが売れてしまい店じまいをしようとした時。どこか見覚えある車が店の前に停まる。

 

店のドアが開き、そこには剛が顔を出した。

 

「ごめん、朝来てくれたのに、コーヒーの一杯も出さなくて」

 

ゆうは、寝ている剛とキスをしている立場で何も言うことはできようか。

 

「いえ、気持ちよく寝ていたので・・・声をかけずに帰ってしまってごめんなさい。」というと

 

「お店終わったら、ご飯行こうよ。」と剛が言う。

 

軽い女だと思われたくないからと、ちょっと困った顔をしながら予定が空欄の手帳を、あたかも予定があるような顔で手帳をみる。

 

「無理ならいいよ。」と剛に言われて、焦ってOKを出す。」

 

剛とゆうは、ふたりで店を閉め車でレストランへ向かう。

 

そこは、高台にある夜景の素晴らしいレストランだった。

 

夜景を楽しみながら、二人はフレンチを楽しみ会話もはずみあっという間に楽しい時間が過ぎていった。

 

レストランを出て、剛は「じゃー送ってくよ。」というとゆうは「ドライブへいこうよ。」と誘う。

 

剛は小さい頃から見ている夜景を案内すると言って山間の部落に案内した。

 

ゆうは感動し、スマホで何枚も写真をとり十分夜景を楽しんだところで車に戻った。

 

剛は、そのままお店へとゆうを送ったのだった。