日替彼女

気持ちの醒めない日常


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ハル 〜謎の女〜2

ハルは、次の日。パン屋の女性に案内してもらい剛の今住む家に案内してもらった。


剛の家に着くと、ハルだけ車から降りた。


パン屋の女性は、「車で待ってます」と伝えたからだ。



家を見るなりハルは、ビックリした。


東京で仕事をする剛には想像できないくらいの田舎暮らしだったからだ。


辺りを見渡すと人の気配はなく、家を除いても誰もいないようだった。


ハルは諦めて、車に戻り少しこのまま待ってくれないかとお願いする。


しかし、パン屋の女性は、仕込みがあるという理由をつけて帰ろうとした。


ハルは、剛に会うために来たのでここに少しいるといい。パン屋の女性と別れた。






夕方になり、山間部を日陰に少しずつしていく頃。剛は戻ってきた。


剛は、ハルに気づくと少し表情が強張った。


剛にとっては、会いたくない一人だろう。


しかし、ハルは剛を見つけると走り出した。


ずっと剛に憧れて仕事をしていたハルにとっても会社以上に剛が居なくなったことがショックで一緒に仕事をしていた頃よりかなり痩せてしまった。


どこかで仕事をしている。生きていると信じて探し続けた人が目の前にいる。


ハルにとっては、嬉しい瞬間でもあり安心した瞬間でもあった。


剛に抱きつき、ワンワン泣き出した。


ちょうどその時にパン屋の女性は、ハルが心配になり戻ってきてその光景を目にする。


剛は車の音に気づき、パン屋の女性を見るもそこには笑顔はなかった。


パン屋の女性は、そのまま帰ってしまった。


剛は、ハルが少し落ち着いてから家の中に案内した。


ハルは、剛に質問責めにするも剛はほとんど答えなかった。


もう、外は真っ暗。


剛は、ハルを無理やり帰らせることなく泊まらせることにした。


ハルは、隣で寝たいと言ったが剛はその要望を断り別々に寝た。


剛は、ハルにポツリと「心配してくれてありがとう」と言いハルの寝る部屋に背を向け寝てしまった。


ハルは、行動が報われたと思い泣きながらその日は、剛が居なくなった日からなかなか寝れなかったが、その日はゆっくり寝ることができた。


ハルが目を覚まし、剛の姿がないことに気づく。


直ぐに起き上がり、周囲を見渡してみると車を洗っている剛がいた。


「剛さん!」


とハルが声をかけると昨日の曇っていた表情と違い「おはよ、ハル。寝れたか?」とあの頃に戻ったかのような声でハルに声をかけてくれた。


ハルは、思わず泣いてしまい、部屋の奥に入ってしまった。


剛は、車を洗い終わると家の中に戻りコーヒーを入れ、ハルの前にコーヒーを置き、大丈夫かと言うかのようにハルの頭に手を置いた。


ハルと昔の話をしたり、また今のハルの生活を聞いたが、剛は今の自分の話はほとんど話をしなかった。


それでも、ハルは目の前に剛がいることが嬉しくて「いつか話してください」というだけで執拗に聞こうとしなかった。


それから数日、ハルは剛の家に泊まり東京に戻った。